加山雄三

今回は加山雄三です。加山雄三と聞いて最近の多くの人はナビスコとか、リッツとか、知ってるつもりあたりを連想させるおじさんくらいの認識しかないと思いますが、実はものすごく才能豊かなアーティストであり、すぐれたミュージシャンなのです。日本初のシンガー・ソングライターでもあり、和製ポップスの巨匠と言いきれるでしょう。

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それまでの日本の音楽界は歌謡曲(演歌)に代表されるマイナー系の曲調に支配されていて、作曲家と言われる人たちもジャズとかをやっていたはずなのですが、職業としての音楽になると必ずマイナー調になる傾向があり(おそらく日本の敗戦から復興あたりの文化と深く関係しているものと思われる)一部の例外である服部良一、中村八大(それでも彼の最初のヒットは水原弘の「黒い花びら」で完全なマイナー調)あたりを除けばヒット曲はすべてマイナーキーだったわけです。

その後、海外のポップスに強く影響されたフリーの作曲家(GS3大作曲家の筒美京平、村井邦彦、鈴木邦彦)が1966年~1967年あたりに登場し、筒美京平による、いしだあゆみの「ブルーライト・ヨコハマ」(1968年)が歌謡ポップス第1号と呼ばれ、エポック・メイキングな作品として高い評価を受けていますが、その1年も前にすでにメジャーセブンスのコードをお洒落に使った自作曲をヒットさせていたのです。(この曲はさだまさしに大きな影響を与えたらしい)
 またこの曲は映画「リオの若大将」でも印象的に使われています。ちなみに東宝映画「リオの若大将」は若大将シリーズの中でも素晴らしい内容で、「エレキの若大将」や「アルプスの若大将」と並ぶ傑作です。ぜひとも見て下さいね。

 B面の「暗い波」はカルロス・ジョビン風ボサノバで、これも必聴。

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このアルバム「太陽の恋」は映画「南太平洋の若大将」のサントラ的なアルバムで、シングル「二人だけの海」(これも名曲中の名曲!ポップスファンは避けて通れない)を含むもので、私の加山フェイバリット・アルバムです。 まずジャケットの胸毛に注目!(すいません冗談です) まずA面1曲目はオープニングにふさわしいおおげさなオーケストレーションで始まり、2曲目はアコギと口笛と歌だけのシンプルながら胸を打つ名曲。
3曲目はサンバ&ハワイアン、パーカッションが素晴らしい。4曲目はスチール・ギターが美しい完全なハワイアン。6曲目では加山メロディのこの頃の特徴である裏声を使った感動的な曲。
B面になると、A面で全体を支配していたハワイアン的なサウンドから一変、1曲目はお得意の3連もので、お約束の間奏のセリフでは最後に「ネッ・・」と言われてしまう。2曲目はこれも裏声になる所がシビれる名曲。3曲目はこれもメロディの美しい隠れた名曲。4曲目はボサ・スキャットもの!!! 5曲目はシングルで先行発売されていた大名曲でこれはバックのバンドはワイルドワンズ!。
加瀬邦彦による12玄ギターの音色はまるでバーズの「ターン・ターン・ターン」のようでカッコ良すぎ。またそのギターと絡むように入ってくるストリングスには感動するしかない。このように洋楽のエッセンスを単なる模倣や、引用でなく完全に消化した形で作品にする加山のアレンジ能力にはまったく頭が下がる。

 そのB面の5曲目「二人だけの海」のバックのワイルド・ワンズは加山がグループ名を付けたバンドで「想い出の渚」のヒットで有名。彼らのセカンド・アルバムについて「J-POPの部屋」で簡単な私のコメントがあります。

 ワイルド・ワンズのリーダー加瀬邦彦は高校1年の時に加山ニ出会ってそれから加山を兄のように慕い、加山の家に入り浸り、加山からサーフィン、ヨット、ギター、ウクレレなどを教わった。「想い出の渚」は高校2年の時にウクレレで作った曲だそうだ。湘南サウンドの代名詞にもなっている「想い出の渚」も加山がいなければ生まれなかった名曲のひとつ。

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1976年の「僕の妹に」がひさびさの大ヒットになって加山ブームが再燃してきた70年代後半は加山の作曲家としての作品もかなりクォリティの高いものがあります。中でもこの天地真理の「愛の渚」は加山お得意の間奏セリフ入りの大傑作です。天地真理もこの頃はヒット曲が出せなくなっていて人気も下降線だったのですが、この曲はひさびさのヒットになりました。

 とにかく、加山雄三という人は日本が世界に誇れる素晴らしいアーティストなのです。これを読んで少しでも興味が出た人はベスト・アルバムでもいいですから聴いてみて下さい。



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# by swan_ox | 2003-08-11 17:42 | 歌謡曲 | Comments(2)

スティーリー・ダン

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今週のコラムはスティーリー・ダンです。なぜスティーリー・ダンかというと20年ぶりのニュー・アルバム「トゥー・アゲインスト・ザ・ネイチャー」が今年になって発売されたからではなく、5月3日に「キャント・バイ・ア・スリル」から「エイジャ」までの6枚のオリジナル・アルバムが紙ジャケ仕様で再発されたからなのです。今回の目玉はスティーリー・ダンの二人(ドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカー)がリマスタリングしたということでものすごい音質の向上が見られます。過去にもファーストから5枚目の「幻想の摩天楼」までのCDは、デジタル・マスタリングされていて、なかなかの音質だったのですが、今回のは更にすごい! 前回のマスタリングでは達成できなかった中音域の充実には目を見張るものがあります。(音がブッとい!) 以前のCDの音質が悪かった「エイジャ」に関してはもう違う作品のように聞こえます。(前の「エイジャ」を持ってる人も今回の盤は買わないわけにはいかないでしょう)今回は7枚目の「ガウチョ」は発売されませんでしたが、フェイゲンとベッカーの二人は「ガウチョ」のマスタリングも準備しているらしいので、これも期待大。スティーリー・ダンというバンドはものすごいバンドで、その音楽性の高さは私が述べるまでもないことなのですが、何が一番すごいって「キャント・バイ・ア・スリル」(ファースト)から作品を発表するごとにだんだん良くなっていく所なのです。よくファースト・アルバムが最高っていうアーティストはいると思うのですが(天才肌の人に多いような)徐々に良くなっていって最高地点に達した所で終わったバンドはスティーリー・ダンだけだと思うのです。最初は普通のロック・バンドだったのにクォリティを上げる為にメンバーを次々とクビにして、最高のプレイヤーを雇ってそのサウンドをものにしていった二人はすごいですね。

 ちなみにスティーリー・ダンが雇ったミュージシャンで代表的な人たちを挙げるとドラマーでは、ジム・ゴードン、ハル・ブレイン、ジェフ・ポーカロ、リック・マロッタ、バーナード・パーディー、ポール・ハンフリー、スティーヴ・ガッド、ジム・ケルトナー、エド・グリーン他。ベーシストでは、チャック・レイニー、ウィルトン・フェルダー、レイ・ブラウン、マーカス・ミラー、エイブラハム・ラボリエル、アンソニー・ジャクソン、ウィル・リー他。ギタリストでは、ディーン・パークス、ジェイ・グレイドン、ラリー・カールトン、スティーヴ・カーン、リー・リトナー、ヒュー・マクラッケン、リック・デリンジャー、マーク・ノップラー他。キーボーディストでは、ポール・グリフィン、デヴィッド・ペイチ、ジョー・サンプル、マイケル・オマーティアン他。 いくら理想のサウンドを求めているからってこれだけ凄い顔ぶれのミュージシャンに囲まれたら、普通は各プレイヤー色が強く出過ぎてしまって「スティーリー・ダンのサウンド」というものが逆に出しにくくなるはずなのに、彼らはこういったミュージシャンを起用することによって作品のクォリティを上げていったのです。

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そういうわけで、スティーリー・ダンの最高傑作は?と聞かれたらその日の気分で「うそつきケティ」とか「エイジャ」とか「エクスタシー」なんて答える私ですが実は「ガウチョ」こそ一番凄いアルバムだと思うのです。


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# by swan_ox | 2003-08-11 17:35 | U.S.A. | Comments(0)

ロジー&オリジナルズ

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長年の念願だったロジーとオリジナルズのCDが遂に発売になった。今まではオムニバス盤で「エンジェル・ベイビー」と「ロンリー・ブルー・ナイツ」が聴けるのがやっとだったのだが、なんと未発表曲10曲入りで全23曲のすごいボリュームでめでたく発売! aceレコードさすが! しかもビックリしたことに名曲「エンジェル・ベイビー」は未発表テイクも入れて3テイク収録。(US Version と UK Version があったのです。) ジョン・レノンがかつて「最高の曲」と言っていた「ギヴ・ミー・ラヴ」も遂に聴けるようになりました。「エンジェル・ベイビー」はジョン・レノンがフィル・スペクターのプロデュースで「ロックン・ロール」というアルバムの為にレコーディングしてオクラになっていたもので、のちに「メロウ・アベニュー」というレコードで正式発売されたのですが、そのジョン・レノン・バージョンを聴いて虜になっていた曲なのです。しかも、ジョンはインタビューでこの「エンジェル・ベイビー」のB面である「ギヴ・ミー・ラヴ」についても絶賛していて私は20年近くもの間このアルバムの発売を待っていたのです。更にロジーさんがセクシーな美女であったことにも判明して2重の喜びです。

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# by swan_ox | 2003-08-11 17:30 | U.S.A. | Comments(0)

スワンの名の由来について

 今回は予定では「森進一と、ロジャー・ダルトリー」だったのですが、このパターンばかりでずっとやってしまいそうで、なんかやだったので、少し趣向を変えて私の芸名の「スワン」について触れたいと思います。(ハンドルネームではありません芸名です)

 この芸名を私は高校生の時から使っています。このカタカナ&漢字の芸名はカピラレコードではおなじみの使い方ですが、実はこのパターンの先駆者はカピラの初期の重要人物、プリーズ丸山なのです。カピラがまだカピラと言っていなかった頃、(私もカツ岸もそれぞれ同じ学校で別々のバンドをやっていました)プリーズ丸山は私の幼なじみでシンガーソングライターでした。彼はライブをする為に私のバンドをバックバンドにしようとしたのです。(ちょうどボブ・ディランがザ・バンドをバックバンドにしたのと似ていますね)その時から彼は自分のことを「プリーズ丸山」と言っていました。

 今考えると当時の彼がジョニー大倉にはまっていたことも大きな要因と考えられます。そんなわけで彼は私のバンド(名前は邪馬台)とその名も「プリーズ丸山&邪馬台」を結成して高校時代に早くも全曲オリジナル(全曲作詞:作曲はプリーズ丸山)のワンマンライブを行なったのです。そんなプリーズ丸山の芸名の付け方が私はものすごく気に入り、自分も芸名はこのパターンで行こうと決めました。「プリーズ」はかなりカッコよかったのでこれに負けないよう練りにねって付けた芸名が「スワン」だったのです。


 なぜ「スワン」になったかと言うと、高貴で格調がありバカみたいな名前だったからです。

 また、もうひとつの「スワン」の理由は自分の生涯の中での大名曲、オックスの「スワンの涙」から持ってきています。(本当はこれが最大の理由)オックスは1968年5月5日に「ガールフレンド」作詞:橋本淳 作編曲:筒美京平でデビューしたGSグループで、彼らの3枚目のシングルとして同年12月10日に発表されたのが「スワンの涙」(作詞作編曲は同じ)です。


   いつか君が 見たいと云った

   遠い北国の 湖に

   悲しい姿 スワンの涙


この「スワンの涙」のサビは今でもこみあげてくるものがある感動の名曲です。

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ジャケットも最高です(真木ひでとのサイン入り)


右下の赤松愛はこの次の「僕は燃えている」発表後ジョン・レノンの弟子になると脱退

高校の文化祭でこの曲と「ガールフレンド」、ジャガーズの「マドモアゼル・ブルース」、「恋人たちにブルースを」、スパイダース「真珠の涙」をやりましたが、完全な自己満足に終わりました。(当時マイナーキーの曲にこっていました。)今考えてもこの選曲はかなり良かったと思っています。(当時は意識していませんでしたが全部の曲が筒美京平がらみというのも私らしい。)

そんなわけで、「スワンの涙」未聴の方は絶対に聴くべき。

でも今の人の耳にはこれは演歌に聞こえるらしい。



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# by swan_ox | 2003-08-11 17:24 | 歌謡曲 | Comments(0)

青江三奈とミリー・ジャクソン

私の最も好きな女性シンガーについて考えたいと思います。そもそも誰が何を好もうとその人の勝手なのですが、私の場合どのような音楽に対しても「ソウル(魂)を感じるかどうか」という価値判断のもと色々な音楽に接しています。

スワン横田がソウルを感じる女性シンガー

  シルヴィア

  伊東ゆかり

  アグネス・チャン

  ジョニ・ミッチェル

  いしだあゆみ

  小川知子

  マリア・マルダー

  園まり

  グラディス・ナイト

  渡辺美奈代

  

 ちょっと思い付く所だけをあげたんですけど、統一性に欠けますね。(笑) 最近じゃディーヴァとか言って宇多田ヒカルを筆頭に和製R&Bとかいうジャンルが確立されつつありますが、私にはあれからソウルは感じない。でもあのへんの方々って今までの歌手の人に比べて性格が良さそう(歌手は性格ですよね)でも性格がいくら良くてもソウルを感じない歌手の歌を聴いているほど時間はない。そこで皆さんにお薦めの日本一のソウル度を誇るシンガーを紹介したくなった訳です。青江三奈と言えば『ブルースの女王』と呼ばれ、代表作は「伊勢佐木町ブルース」。ほとんどの人はそう思うでしょう。たしかにあの曲のイントロでの「アーッ アーッ」は日本音楽史に残る偉大な「アーッ アーッ」ですね。20年くらい前には夏木マリもその路線で頑張っていましたが、やはり「アーッ アーッ」のクォリティが違う。その大傑作「伊勢佐木町ブルース」と同じ作曲家、鈴木庸一氏(編曲は両曲とも竹村次郎氏)による奇跡の名曲が「新宿サタデー・ナイト」なのです。

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そもそも当時のレコード会社は、ほとんどの場合が専属作曲家というのがいて、デビューからずっと同じ作曲家でいくのがあたりまえなのですが、青江美奈の場合はデビュー作からしてフリーの作曲家である浜口庫之助の名曲「恍惚のブルース」ですし、ヒット曲は複数の作曲家の手によるものなのですが、どれも素晴らしく統一感のある作品に仕上がっています。これは、歌手青江三奈の実力、個性の強さを物語るものです。もちろん専属作曲家である大御所、吉田正の「この恋なくしたら」(これが2番目に好きかな)も見事に自分のサウンドにしています。なぜこれほどまでに強い個性を出せるのか私は考えましたが答えは出ませんでした。ただ言えるのは <彼女はセクシーである>、<彼女が自分の部屋に来ては困る>これくらいですね。その点で共通しているのがもう一人のセクシー・ソウル・シンガー、ミリー・ジャクソンですね。セクシー度ではシルヴィアの方が断然上なのですが、シルヴィアだったら家に来ても「どうぞ」って歓迎しちゃいますからやはり青江さんに匹敵しているのはミリーさんなのではないかと思います。

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 いままで「ミリー・ジャクソンが好き」っていうソウルファンに逢ったことがないので不思議に思って第一回目のコラムにミリーを持ってきちゃいました。これはセカンドアルバムでジャケが最高なので載せましたが、内容ではこれを挟んでいる1枚目「Millie Jackson」と、3枚目「I Got To Try One Time」の2枚が最高と思います。それでもこのアルバム・タイトル曲なんかはジャケを見ながら聴くとシビれます。最近(と言ってもここ5、6年)はフリー・ソウルとか言ってBGMみたいなサウンドがもてはやされていますが、たまには濃厚なこんなサウンドも良いのではないでしょうか。


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# by swan_ox | 2003-08-11 17:19 | 歌謡曲 | Comments(0)